2014年西成区出来事

1月

7日
歌手でタレントのやしきたかじんさん(本名家鋪隆仁)が3日に死去したことが7日、明らかになった。64歳だった。活動は関西が中心だったが、切れ味鋭いコメントに全国にファンを持つ、日本を代表するスーパースターだった。大阪市西成区で生まれたたかじんさんは、1976年にシングル「ゆめいらんかね」でメジャーデビュー。群を抜いた歌唱力と軽快なトーク術で人気を集める。86年には自身の代表曲となる「やっぱ好きやねん」をリリース。関西を中心に大ヒットとなった。テレビ・ラジオ番組ではタブーを恐れない発言や、切れ味鋭いトークで関西のお茶の間を魅了した。歌手ながら86年に日本放送演芸大賞「ホープ賞」、93年には上方お笑い大賞「審査員特別賞」を受賞。出演する番組の多くが高視聴率を記録したことから「関西の視聴率男」とまで呼ばれるようになっていった。たかじんさんといえば、“北新地の帝王”と呼ばれるほど、関西有数の歓楽街・北新地を愛する男として有名だった。「番組収録が終われば“たかじんファミリー”みんなで飲みにいく。一晩で100万円以上使うのはザラ。それもハシゴで。一見、豪快で自由奔放に見えるけど、女の子に対しては本当に紳士。体目的でもないから、『いくら酔っても安心できる』と評判でした」(たかじん冠番組関係者)と話す。一方で、たかじんさんは気弱な一面も持ち合わせていた。「自分の中に『理想のやしきたかじん』を持っている。それを必死に演じていた。大変な収録が終わると倒れたというのは本当の話なんです」と意外な顔も持ち合わせていた。たかじんさんは2012年1月末に発覚した食道がんで東京の病院に入院。当初は初期と発表されていたが、すでにステージが進行した段階だった。がんの除去手術を終えた後はハワイや北海道で静養し、昨年3月に復帰した。しかし、手術前から10キロ以上やせ、復帰後も収録のたびに体重は減っていった。5月に入り、がんがリンパ節などに転移していたことが発覚し、再度休養に入った。また、昨秋には闘病生活を支えた女性と再々婚し。今春の復帰を目指し、闘病していたが、そのまま帰らぬ人となってしまった。

9日
  • 副管理人をしていた大阪市西成区内のアパートの家賃約120万円を着服したとして、大阪府警西成署は9日、業務上横領容疑で東京都羽村市小作台のアルバイト、今井龍司容疑者(37)を逮捕したと発表した。同署によると容疑を認め、「100万円あれば西成から離れてゆっくりできると思った」と供述しているという。逮捕容疑は、平成23年12月下旬、当時副管理人をしていた同区萩之茶屋のアパートで、住人約30人から集めた1カ月分の家賃など約120万円を着服したとしている。

  • 大阪市内のマンション約70棟に住む生活保護受給者計約2000人に対し、市から保護費として支給されている住宅扶助費が、暴力団が経営していると認定された不動産会社に流れていることがわかった。同社は、各部屋を所有者から借りたうえで受給者にまた貸しし、家賃として受け取る住宅扶助費と所有者への賃料との差額で年約2億円の利益を得ているという。市や大阪府警は「違法性がなく、手が出せない」とするが、事実上、公金が暴力団に渡る構図だけに、専門家は「暴力団排除の流れに逆行する」と対策の必要性を指摘する。府警や市によると、同社は同市西成区にあり、同社や関連会社名義で借りたマンションの部屋を受給者にまた貸しする事業を約4年前から展開。入居した受給者は毎月、住宅扶助費などとして支給される4万円余を同社側に家賃として支払い、同社側は所有者に払う賃料との差額で、1部屋で月数千円の利益を得ている。こうした実態は、府警が昨年10月、受給者からウソの家賃保証名目で5万円をだまし取ったとして、同社の経営方針などに決定権を持つ男(47)を詐欺容疑で逮捕し、判明した。男は同11月に不起訴となり、大阪地検は処分理由を明らかにしていないが、男が調べに「山口組系暴力団組員」と認めたため、府警は組員に認定。同社についても「暴力団が経営している」と断定した。男は現在、別の詐欺罪で公判中だが、保釈されているため、経営を主導する立場に変わりはなく、保護費が同社側に流れる状況もそのまま続いている。この状態について、市の担当者は「暴力団から部屋を借りていることが明白でも、生活困窮者の住居を確保するという住宅扶助の目的は達成されており、対応の取りようがない」と話す。暴力団への利益供与を禁じた大阪府暴力団排除条例を所管する府警も「市や受給者の行為を条例違反には問えない」とする。理由は、市については、保護費が直接は同社側に支払われていないため、受給者についても、生活上の必要があると判断されるためという。読売新聞は同社に取材を申し込んでいるが、8日現在、回答はない。暴力団の排除を巡っては、2011年までに全都道府県で利益供与を禁じた条例が施行され、建設や金融など各業界でも関係遮断への取り組みが進む。警察庁によると、昨年6月までに民間事業者らに利益供与などを禁じる勧告や指導が行われたのは141件に上った。公共工事では全都道府県とほぼ全ての市区町村が、暴力団が関与する会社との契約を解除したり、入札参加を禁じたりする制度を導入。金融業界でも昨年、みずほ銀行が組員らとの取引を放置していた問題を受け、反社会的勢力に関する情報共有の強化に乗り出した。一方、兵庫県では昨秋、暴力団と、暴力団に用心棒代を払っているとされる露店との関係を断つため、県警が神社と協力して露店を管理する全国初の試みを始めている。本当に対策は取れないのか。専門家の一人は、大阪市と大阪府警が各部屋の所有者に対し、暴力団との契約を無効にできる排除条項を活用して不動産会社との賃貸契約の解除を働きかける方法を提案している。現在、不動産の賃貸契約の大半には、借り主が暴力団関係者であることなどが判明した場合、貸主が契約を解除できる条項が盛り込まれている。今回のケースでも、府警などによると、多くの所有者はこの条項が入った契約を不動産会社と交わしているという。所有者に関する情報を持つ市と、府警が協力すれば、問題の構図を元から断つことができるというわけだ。ただ、約2000人もの受給者が住まいを失う恐れがあり、早急に、転居先を確保したりすることが課題となる。暴力団排除に詳しい疋田淳弁護士は「法的に問題がなくとも、公金が暴力団に流れるのを見過ごすのは暴力団排除の流れに反する。市が転居支援などを行い、府警は所有者の説得や保護を担当するなど役割分担をして臨めば、現状は変えられるはずだ」と話した。

24日
日雇い労働者の街として知られる大阪市西成区の「あいりん地区」に平成27年4月の開校が予定されている小中一貫校の構想が揺れている。小学1年からの英語教育など高い質の授業を提供する「スーパー校」と位置付けて、児童・生徒を全市域から募集する方針だが、想定される通学路ではごみの不法投棄や覚醒剤の売買など環境面での問題が山積。地元からは“看板倒れ”の可能性を指摘する声が上がっている。あいりん地区にある建設予定地の市立今宮中学校では、昨年11月に運動場の一角で新校舎建設が始まっている。しかし敷地隣の公園は路上生活者のテントが張られ、周辺の歩道では布団や衣類が干されていた。近くを走る南海本線の高架沿いは同地区の中でも特にごみの不法投棄が目立つ。 「私立に負けないスーパー校をつくる」。橋下徹市長は西成区の活性化を目指して「西成特区構想」を掲げており、この小中一貫校は構想の目玉施策。今宮中、市立萩之茶屋、弘治、今宮の3小学校を統合させ、英語教育やタブレット端末によるICT(情報通信技術)活用など高いレベルの授業を行う。校区内の子供に加えて、全市から児童・生徒を募集する。市教委は昨年8~9月にかけて、統合する3小学校で保護者らを対象にした説明会を実施。市教委によると、今宮中から最も離れた今宮小の説明会では「(ごみの不法投棄などの)学校周辺の環境が改善されないままでは、安心して小学生を通わせられない」など反発の声が相次いだ。あいりん地区には地区外から毎日大量のごみが持ち込まれる。市は登校時間前の早朝に回収を行っているが、きれいになった路上にごみが次々と持ち込まれ、担当者は「イタチごっこだ」と頭を悩ませる。薬物事件も深刻だ。大阪府警によると、同地区での覚醒剤など薬物の摘発者数は年間400人以上。地元の萩之茶屋社会福祉協議会の田中康夫会長は「覚醒剤の使用済みの注射器が、学校周辺や子供の自転車の前かごに捨てられている」と嘆く。府と府警、市は来年度からは専門チームを設置し、5年かけて薬物対策に取り組む。また同市の予算編成では西成区役所などが小中一貫校開校を見据え、来年度予算に同地区の清掃作業や防犯カメラ設置などとして計約2億7千万円を要求している。開校まで1年半をきり、田中会長は「不法投棄や覚醒剤が横行する環境を改善してイメージを良くしなければ」と指摘する。文科省の調査では、経済的に厳しい家庭が多い学校ほど成績が低い傾向にあるとされる。西成区では4人に1人が生活保護受給者で、子供を取り巻く環境は厳しい。市教委担当者は小中一貫校について「ハイレベルな教育だけでなく、小学校のころから勉強につまずいている中学生を小学校の教員が個別にサポートできる」と説明。「西成区の子供たちの学力を伸ばすためにも必要で、開校までに課題を解決したい」としている。

30日
大阪府は30日、覚醒(かくせい)剤の密売など薬物事案の摘発が相次ぐ大阪市西成区の治安対策として、来年度当初予算案に約2億円を計上する方針を固めた。府と市、府警で合同対策チームを立ち上げ、関連予算案を2月定例府議会に提案する。対策事業では、防犯カメラ32台を同区に新設するほか、児童の非行防止教室の講師や、通学路の見守り活動を行う地域ボランティアの指導を行うサポーターを1人から6人に増員する。松井一郎知事は記者団の取材に「西成が良くなれば大阪が大きく変わると言っても過言ではない。やれることは早期に全力でやりたい」と意気込みをみせた。府警薬物対策課によると、日雇い労働者らが集まる同区のあいりん地区の薬物事案の摘発者数は年間400人以上で、府内の全摘発者数のうちの約5分の1を占め、劣悪な教育環境が問題視されていた。

2月

2日
大阪市西成区役所は3日から、区内のあいりん地域が抱える問題を解決する「西成特区構想」のテーマ別シンポジウムを順次始める。「西成が変われば大阪が変わる」という橋下徹市長の考えが背景にあり、同地域に焦点を当てた「環境・福祉」をはじめ「観光振興・地域資源活用」「子ども・子育て」の3分野について有識者や区民が意見を交わし、本年度中の構想実施を目指す。西成特区構想の定義について、西成区の臣永正広区長は「法的な特区ではなく、西成に(資源や人材を)投入する」と説明。橋下市長の意向については「(市長職とともに)西成区長もしようとしたこともあった。兼務はできなかったが、それだけ力を入れている」と話している。大阪市特別顧問の鈴木亘氏を座長とする有識者座談会の報告書は「あいりん地域の貧困化、少子高齢化、人々の孤立・無縁化などの問題は大阪市の各区に共通したもの。この地域で問題解決が進めば『成功モデル』として各区の施策に生かすことができる」と提言している。シンポジウムは3日の観光振興・地域資源活用を皮切りに6日に環境・福祉、7日に子ども・子育てについて検討し、今後の方向性を具体的に示す。西成区役所4階会議室で開き、開催時間はいずれも午後6時半~8時半。定員各100人。

5日
  • 「あいりん地区」をはじめ日雇い労働者で支えられてきた大阪・西成が、次は外国人によって活気が生まれている。以前から料金の安いゲストハウスなどの簡易宿泊所の人気が高まっていたが、最近は“昭和”の雰囲気が残る街並みが好評だという。昨年1年で12万人以上の外国人が利用。主要駅に近く利便性もあり、2020年東京五輪でさらに利用増が見込まれるだけに、経営者らは「日本に行くならまず西成へ行け、となるのも夢ではない」と期待を膨らませている。木造住宅が多く、難波や心斎橋にはない昔の大阪が残っている。住民も気さくで、すごく気に入っている」。昨年秋から西成のゲストハウスを利用しているイギリス人のソニア・パーキンズさん(28)は街の魅力を強調する。このゲストハウスを経営する伊東祐美子さん(35)によると、利用者の約9割が外国人。立ち飲み屋やカラオケ居酒屋といった老舗の商店や、「これも食べてみて」と外国人に気後れすることなく世話を焼く住民の人情が好評で、リピーターも多いという。国内では過去の暴動などのマイナスイメージもあったが、メキシコ人のデビッド・シュピラーさん(25)は「治安が悪いなんて思わない。メキシコより安全だよ」と笑い飛ばす。伊東さんは「地元住民も好意的に受け入れている。タイのカオサン通りのように日本のバックパッカー(旅行者)の聖地になれる」と話す。西成に転機が訪れたのは平成17(2005)年春、あいりん地区の簡易宿泊所の若手経営者が集まって「大阪国際ゲストハウス地域創出委員会」(OIG)を結成したことだ。日雇い労働者の高齢化で経営は厳しくなり、「外国人なら治安を気にせず、低価格を重視するはず」と経営方針を大転換した。1泊1千~3500円の低価格を武器に、主にバックパッカーが利用する全世界向けの宿泊サイトに登録して海外にアピール。21年にはOIG顧問の松村嘉久・阪南大教授(観光地理学)がJR新今宮駅近くに観光案内所を開設し、英語の観光パンフレットの無料配布も始めた。伊東さんのようにOIGに加盟していない経営者にも外国人が利用する宿泊サイトの助言をするなどして支援。その結果、OIGに加盟する主要8施設の外国人利用者は、19年が約5万2千人だったのが25年は約12万2千人に急増した。奈良市の24年1年間の外国人宿泊者数は5万6千人で、関西の代表的な観光地を上回った。あまりの急成長に課題も浮かび上がってきた。あいりん地区には約60軒の簡易宿泊所があり、OIGに加盟しているのは17軒。いずれも利用者の急増によって収容能力が限界に達しつつある。東京五輪に向けてさらなる需要が見込まれるが、外国人に必須のインターネット環境や洋式トイレへの改修など初期投資で足踏みする宿泊所が多いという。大阪市の橋下徹市長は24年、子育て世帯の流入促進や不法投棄対策などを通じて西成の活性化を目指す西成特区構想を提唱。産業・経済ではバックパッカー向けの観光振興も重視し、西成を変えようという動きは行政にも広がっている。松村教授は「外国人が増えれば街のイメージが変わり、西成に住みたいという日本人も増える。このチャンスを生かすため、行政にはホテルや旅館などへの支援も進めてほしい」と話している。

  • NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あまちゃん」のオープニングテーマ曲をつくった作曲家で、ギタリストの大友良英さん(54)が指揮し、即興で演奏する「西成・子どもオーケストラ」の演奏会が11日、大阪市西成区の区民センターホールで開かれる。細かい指揮ではなく、簡単なルールで即興演奏。どんな演奏となるかは本番にならないと分からず、「一回限りの音楽」であるのが特徴だ。福島県で育った大友さんは平成23年3月の東日本大震災後、福島県に復興支援のためにプロのミュージシャンと市民を集めた即興コンサートを開催。そこで、西成区で空き家を活用したアート事業などに取り組むプロジェクトのメンバーがスタッフとして協力していた。メンバーと大友さんが知り合ったことで、西成区との縁ができた。これを受け、大友さんは翌年の24年から、1年に3~4回、西成区を訪れるようになり、小学生、中学生計約20人に、即興演奏の指導をしてきた。今回演奏を披露するオーケストラは、指導を受けてきた小中学生とともに、プロミュージシャンで構成。総勢約50人になっている。使う楽器は、ドラムや、ギター、鉄琴、アコーディオンのほか、韓国の太鼓であるチャング、アフリカの太鼓のジャンベなどで、複雑な音とメロディーが共鳴する。即興演奏は、簡単な指揮のルールを定めているのが特徴。指などの動きで「速く」「長く」「遅く」「止める」などを指示し、その時々の演奏にしていく。このため初心者でも一定の練習をすれば舞台に立てる。大友さんは「初めて楽器を演奏する人でも10分くらいで、演奏ができる。こんな方法で音楽演奏はできるんです」と話す。ジャンベを担当する中学2年生の木村誠さん(14)は「最初は緊張したが、リズムを感じとれるようになり、みんながうまくなったのが自信につながった」と話していた。コンサートは11日午後3時半~5時、西成区役所横の区民センターホールで。当日券のみで先着200人。一般500円、高校生以下無料。問い合わせは、主催するブレーカープロジェクト事務局((電)070・5046・8667)。

  • 大阪市西成区にあるダイニングバータクリーノで冬の「タクリーノ音楽祭」が2月9日に開催される。マスターの上阪卓郎氏は元自転車強豪選手で、バーを営業するかたわらオリジナル自転車や関連商品の開発を手がけている。大阪の玉出では定番になったタクリーノ音楽祭の冬の部。上阪氏は「もう春は目前ですね。気持ちよく歌って弾いて寒さを吹きとばそー」と怪気炎を上げる。何の変哲もない音楽の宴で、歌や楽器のうまい人のセッションから参加者の合唱や生オケ大会など。大阪府のこの界隈にはかつてから自転車製造業者が多いことから、席を埋める大半は自転車関連の人だという。気が向けばぜひ。

7日
日雇い労働者が多く集まる大阪市西成区のあいりん地区で開かれている「釜ケ崎芸術大学」の活動が2年目の終盤に差し掛かり、学びの場として定着している。受講生は今年8月1日~11月3日に横浜市で開催される現代アート祭典「横浜トリエンナーレ」にアーティストとして参加予定。大学の成果を披露する晴れ舞台に臨む。釜ケ崎芸術大学は、芸術を通した日雇い労働者支援に取り組むNPO法人「ココルーム」(西成区山王1丁目)が大阪市の基金を活用し2012年9月に開設。詩、音楽、ダンス、書道、天文学など専門家が指導する1回約2時間の講座を5カ月間で42回開いた。2年目は民間基金を使い昨年9月に開設。ガムランや狂言などユニークな講座も加え、今年3月までに14講座を計56回開く。講座には多いときには40人、平均13人が参加するという。担当する同NPOの植田裕子さん(28)は「普段家族や友達がいない人も多いが、講座を通して友達になり、ずっと来ていた人が来なくなると心配するようなつながりが生まれた」と振り返る。2月16日に山王集会所で開かれる成果発表会に向けた作品づくりや練習が大詰めを迎える中、喜望の家(同区萩之茶屋2丁目)で3日、今期最後のダンス講座が開かれた。大阪府在住の振付家、中西ちさとさんが講師を務め10人が参加。朝目覚めてから家を出るまでの行動を創作ダンスで表現した。参加した近くの大坪広三さん(69)は表現や狂言の講座も受講。「勉強になる。ダンスを始めてから体調も良く、これをきっかけに人生を成功に導いていきたい」と語る。長くうつ病を患っている同区花園南1丁目の由良栄久さん(59)は多種の講座を受講。「新しい体験ができるのが釜芸大の醍醐味(だいごみ)。この前は着物を着て本物の能舞台に立つことができた」とうれしそうに話す。同大学は、地域外の人に学びや気付きを提供する機能も果たしている。若い女性が訪れ、釜の「おっちゃん」の話を聞いて励まされるケースも多い。植田さんは「地域の人たちの生きる知恵はすごい。たくましく生きてきた経験を聞くだけで心が動かされる」と説明する。人生を投影させたダイナミックな芸術表現や浮沈を生き抜いた人生観が、同大学講師の美術家で「横浜トリエンナーレ」のアーティスティック・ディレクター、森村泰昌さんに認められ受講生のアーティストとしての参加が決まった。プログラムは未定だが、受講生の作品披露の他、子ども対象の人生語りや釜ケ崎を紹介する写真展などを計画している。植田さんは「どう受け止められるか未知の世界。芸術や表現が人生にどのように関わってくるのかを考える人や場所が増えるきっかけになればうれしい」とトリエンナーレへの抱負を語った。

12日
  • 大阪市から助成を受け、同市西成区のあいりん地区を描いた映画「解放区」を制作した監督が、「市側から作品を検閲され、内容変更を求められた」として、3月に同市で開かれる「第9回大阪アジアン映画祭」への出品を辞退したことがわかった。覚醒剤の密売人らが登場する場面などについて、市などで作る主催の実行委員会が「偏見を生む内容で、人権への配慮が必要」と削除を求めたのに対し、監督が「表現の自由の侵害だ」と反発したためだ。監督は俳優の太田信吾さん(28)で、「解放区」では自ら主演。友人を探しにあいりん地区へ来た主人公が覚醒剤に手を染める内容で、密売人から覚醒剤を購入し、使用する場面などがある。市は今回、同映画祭に2800万円を助成し、うち60万円は「解放区」の制作費に使われている。ところが、映画が完成した後の今月に入り、市が実行委の会議で内容の一部変更を要求。全会一致で認められたが、太田さんは修整を拒否した。太田さんは「要請通りに編集すれば作品として成立しない。行政があいりん地区の実情を隠蔽しようとしている」と訴え、市は「あいりん地区の人たちを傷つける内容で、税金を投じている以上、上映には同意できない」としている。

  • 大阪・西成区のあいりん地区で海賊版のDVDなどを販売している露店の一斉取り締まりが行われ警察は店主の男3人を著作権法違反の疑いで逮捕しました。取り締まりを受けたのは大阪・西成区のあいりん地区にある3つの露店です。けさ7時ごろから20人あまりの警察官が一斉に捜索を始め海賊版のわいせつなDVDを販売目的で所持していたとして店主の和田哲治容疑者(57)ら3人を著作権法違反の疑いで逮捕しました。あいりん地区には海賊版のわいせつなDVDや盗難品などを販売する違法な露店が多い時には70あまり立ち並んでいます。小学校や中学校の通学路にあたることから住民からの苦情が相次いでいるほか市道の一部をふさぎ緊急車両の通行の妨げにもなっています。警察は違法な露店が犯罪の温床になっているとして今後も取り締まりを強化していくことにしています。

13日
  • 「ネガティブなところは消せない」。大阪市の西成区役所が1月28日開いた区政会議の情報発信部会。地元の大阪フィルハーモニー交響楽団で事務局長を務める佐々木楠雄が切り出した「ネガティブ」は、あいりん地区のイメージを念頭に置いていた。覚せい剤の密売、暴力団の存在、野宿生活者のテントや小屋掛けがあって住民が利用できない公園、減少の一途をたどる児童数…。治安、環境、教育の問題が山積するイメージの刷新が西成区政の懸案だ。若手職員が取材した飲食店の「おススメ」情報、区内37カ所の銭湯めぐりを誘うマップなどのホームページ掲載をはじめ、府職員と市職員2人の漫才コンビが出演する西成のプロモーションビデオ制作。区役所の担当者が情報発信部会で示した取り組みは多岐にわたるが、「やみくもに訴えても分かりにくい」(地元市議)と指摘する声は少なくない。問われているのは情報の発信に限らず防犯の強化、環境の改善、子育ての充実を含めた総合的な戦略の下での戦術であり、その戦略になるのが「西成特区構想」だ。資源や人材を思い切って投入し、短期集中型の問題解決を目指す市独自の特区構想は「西成が変われば大阪が変わる」と説く市長の橋下徹の政策がベースになっている。昨年12月、萩之茶屋社会福祉協議会などあいりん地区の地元団体が、橋下と大阪府知事の松井一郎に面談。覚せい剤の撲滅を陳情すると、松井は特別対策として5年間で5億円を投入する意向を示した。橋下・松井コンビのスピード感のある対応だったが、その後、橋下は、看板政策の「大阪都構想」停滞打破を目指して辞職、出直し選出馬を表明。橋下が会見した2月3日を最後に、西成区役所は特区構想を検討するシンポジウムの開催を「政治的中立」の立場から自粛したままだ。「市政が変わってきたと思ったら再選させてください」と橋下は市民向けに語り「そういう方向がいらないなら違う市長を選んでもらっていいです」と一点突破の政治手法を貫くが、萩之茶屋社協の役員(72)は「50年やってもあいりん地区は変わらないのに(大阪市全体を)3、4年で変えるのはむちゃ」と橋下の言動に“性急”さを覚えたという。変革を促す政策は一朝一夕に成し得ない。「ネガティブなところは消せない」と語った佐々木も「息の長い取り組みをすれば(固定観念のない)若年層が抱くイメージは変わってくる」と地道な対応を提言するが、西成区長の臣永正広にとって今年は「正念場」という意識が強い。約12万人に上る西成区の人口が2030年には9万人を下回るという予測を踏まえ、臣永は「加速度的に子育て層が区外に出て行って都会の中の『限界集落』になりかねない。何もしないとそうなる」と考えるからだ。「やみくも」な取り組みではなく、中長期的な視点を持ちながら短期集中型の特区構想をいかに実践していくか。西成区政の模索が続いている。

  • 放置自転車を盗んだとして、兵庫県警姫路署は12日、占有離脱物横領容疑で、住所不定、無職の男(38)を逮捕した。容疑を認めているという。逮捕容疑は9日午後3時半ごろ、岡山県倉敷市の雑貨店前で、放置されていた自転車を1台盗んだとしている。同署によると、男は仕事を探そうと広島市から大阪市西成区へ徒歩で向かっていたらしい。倉敷市で盗んだ自転車に乗り、12日早朝に姫路市内で同署員に職務質問されるまで約120キロを走行してきたという。

15日
大阪・大阪市の“西成”は日本最大のドヤ街として多くの日雇い労働者を受け入れてきた。路上で寝ている人もいれば、日雇いの仕事にあぶれて朝からヤケ酒を飲んでいる人もいる。公園ではノミ屋の前で競馬中継のラジオに熱狂している人も。パチンコ店もスロット店もあるが、西成のギャンブル好きが通うのは違法なゲーム喫茶だ。本紙が潜入した。そのゲーム喫茶店には看板がなく、営業しているのか、そもそも店なのか普通の民家なのかもわからない。しかし、ドアを開けると、客がいて、「8ライン」と呼ばれるスロットやポーカー、花札のゲームに興じていた。西成事情通は「レートは10円から。飲み物も飲み放題だし、最初は暇つぶしでやっていたのがどんどんハマっていくパターンは多い。なかでもハマるのが『8ライン』という9画面あるスロットゲーム。レートは10円からといっても8ラインでベッドを重ねれば1回200円以上かかる」と明かす。8ラインは“悪魔のゲーム”と呼ばれるほど中毒性が高い。「その単純性から、覚醒剤乱用者などが特に好んでやります」(同)10円では満足できなくなり、レート20円の台に座ったら最後。1日中ハマって10万、20万円と消えていく。「警察が来る場合に備えて、外に監視カメラをつけてるけど、今まで摘発されたことはないですね。まあ、闇カジノに比べて、賭けてる額が少額だから、警察も見逃してくれてるんじゃないかな。それよりも怖いのはタタキ(強盗)。負けた客が中国人とつるんで、バット持って押しかけてきたことも1度や2度じゃない。といってもこの店には現金をあまり置かないように徹底しています」(同事情通)無料のドリンクバーなどもあり、ゲームをしないで歓談する客の姿もあった。非合法な“裏カジノ”というより、西成の庶民の社交場だ。「もっとレートの高い店もありますよ。客はたいてい生活保護の受給者で、支給日に5万とか平気で使います。年中無休で24時間営業。シャブの売人も出入りしていて、目をギラギラさせてほとんど寝ずにゲームと格闘しているやからもいます」こうした非合法なゲーム喫茶は犯罪の温床と言われている。絶対に興味本位で足を踏み入れるべきではない。

17日
17日午前6時25分ごろ、大阪市西成区萩之茶屋のマンションから出火。鉄筋6階建てマンションの5階一室約10平方メートルを焼いた。室内から住人とみられる60代ぐらいの男性が病院に搬送されたが、全身にやけどを負い、意識不明の重体。大阪府警西成署が男性の身元確認を急ぐとともに、出火原因を調べている。同署によると、現場は日雇い労働者らが集まる「あいりん地区」の一角にある月極のワンルームマンション。煙に気づいた同じマンションの住民が通報した。

21日
大阪市西成区にあるビルを巡り、既に売却していたにもかかわらず所有権を譲るなどと嘘をつき、知人から800万円をだまし取ったとして、介護サービス会社を経営していた女が逮捕されました。「午前10時25分です。奥田いすず容疑者が詐欺の疑いで逮捕され、警察に連行されていきます」(記者)詐欺の疑いで逮捕されたのは、大阪市西成区で介護サービス会社SEAを実質的に経営していた、奥田いすず容疑者(61)です。警察によりますと奥田容疑者は、大阪市西成区に所有していたビルを不動産会社に売却していたにもかかわらず、去年5月、当時SEAの代表取締役を務めていた女性に対し「お金を用意してくれればビルの名義をあなたに変えてあげる」などと嘘を言って、現金800万円をだまし取った疑いが持たれています。「(800万円は)家族から集めたお金、お金ができたら返してくれると本当に思っていた。お金は戻ってこないけれども、罪を償ってほしい」(元SEA代表取締役の女性)警察の取り調べに対して、奥田容疑者は容疑を否認しています。

22日
  • 寒い季節は路上生活者にとっては生きるか死ぬかの日々だ。他にゆくところがなく路上生活する人がいるように、さまざまな事情で保護者とともに暮らせない子どもたちもいる。ベストセラー『がんばらない』で知られる鎌田實医師が、大阪のドヤ街・釜ヶ崎を訪れたときにきいた、施設の子どもが老人を助けた話をつづる。厳冬の1月、大阪のドヤ街・釜ヶ崎に行ってきた。あいりん地区とも呼ばれる場所。日雇い労働者が仕事を求めて集まる、日本最大の“寄せ場”だ。釜ヶ崎には「こどもの里」という貧困や虐待から子どもを守っている施設がある。厳寒のこの季節になると、こどもの里の子どもたちは、ボランティアと一緒に夜回りを開始する。釜ヶ崎には、仕事がなくて日払いの簡易宿泊施設にも泊まれない人々が路上で寝起きをしているので、なんとか凍死者を出さないようにと、子どもたちがおにぎりを片手に配って歩く。温かい汁ものを提供したり、簡易カイロや毛布を配って町を回っているのだ。夜回りをしていたボランティアが、80歳くらいの高齢者夫婦が路上で震えているのを発見した。話を聞いてみると、親戚から見捨てられたという。「釜ヶ崎に行けば家がなくてもなんとかなるだろう」と言われて、釜ヶ崎まで連れてこられ置き去りにされた。持てるだけ持って出てきた荷物の中で、夫婦二人は震えていたそうだ。路上生活の経験のない80歳のお年寄りが、この真冬に夜を越すことなど出来るわけがない。本当に危ないところだった。間一髪。すぐにこどもの里に連れ帰り、泊めたという。翌日、在宅ケアのプロたちが集まって、この夫婦が入所できる施設を探した。そして、しばらくの間は保護してもらえる施設が見つかったという。とりあえず、高齢者夫婦が凍死しなくてすむ方法が見つかったのだ。家族や親戚たちから見捨てられたお年寄りたちが入る養護老人ホームはたくさんあるはずなのに、拒否されるケースが釜ヶ崎だけではなく、全国で横行しているという。本来は国と自治体でホーム入所等にかかる費用を半々で負担していたのだが、税源移譲で、市町村の全額負担になった。国が手を引いたのだ。そのため税収が少ない市町村では、養護老人ホームが空いていてもそのままにして、あえて入所させない町もあると聞く。一方、生活保護だと、国が4分の3負担するので、市町村負担を軽くするために、養護老人ホームに入れないで、生活保護を受給させてしのぐケースがある。そのほうが市町村の懐が痛まないからだ。日本という国は、急激な高齢化が叫ばれて久しい。それなのに現実には具体的な対策はない。抜本的な構造改革をしないと、行き届いた福祉がなくて、とんでもない額の借金ばかりが残る国になってしまう。

  • 3月7日に全面開業を控える日本一の高層ビル『あべのハルカス』(大阪市阿倍野区)。周辺地区には“ハルカス・バブル”を期待し高揚感も漂っているが、その中で注目を集めているのが、同ビルから徒歩約十分の新今宮一帯だ。新今宮といえば、“日雇い労働者の町”西成区・あいりん地区の玄関口にあたり、駅周辺には簡易宿泊所が軒を連ねていた。それらが今、外国人観光客向けの格安ホテルに様変わりし、街の雰囲気も国際色豊かになり始めているのだ。「外国人観光客といっても、韓国・中国人ではなく、欧米人、それも若者やカップルが中心です。この傾向は、同地区の労働者の減少と高齢化が問題になった4、5年前から始まりました。利用客が少なくなった某簡易宿泊所が、“バックパッカーの聖地”ともいわれるバンコクのカオサン通りにヒントを得て観光客向けの格安ホテルを思いつき、ネットの旅行サイトで海外に情報を発信したところ、予想外の反応があった。そこで、客室や洗面所を洋式に改装し、英語が話せる従業員を雇い対応。この動きを大阪市などもバックアップしたことで、去年の夏頃から国際化に拍車が掛かったのです」(地元記者)JR新今宮駅では、旅行パンフレットを持つ欧米人の姿が珍しくなくなった。彼らは駅周辺の格安ホテルに宿泊し、天王寺や新世界、飛田にまで繰り出して、その後、奈良や京都で本格的な観光を楽しむという。簡易宿泊所の経営者等による組織『大阪国際ゲストハウス地域創出委員会(OIG)』の関係者はこう話す。「新今宮の国際化は自然発生的なもので、一つの時代の流れ。イメージを変えていくためにも絶好のチャンス。カオサン通りの雰囲気を目指したいですね」ただし一方で、本来簡易宿泊所を利用している労働者からは、こんな話も聞こえてくる。「簡宿が減ったら泊まるとこに困る。観光客にええ顔すんのもええけど、ワシらのことも忘れんといて欲しいわ」激変する大阪下町。時代の流れか。

25日
大阪市西成区の中高年住民らの「記憶」を、ガリ版刷りの新聞で知らせる「西成なるへそ新聞」の10カ月にわたる成果を集めた展示会が大阪市西区の府立江之子島文化芸術創造センターで開かれている。インターネットなどで公募した「市民記者」が、区民に取材した手書きの新聞で、無料で地域に配布。高度成長期に札を受け取るのに一斗缶を用意するほどにぎわった食堂や、有名音頭取りが訪れにぎわった盆踊りなど、昭和30、40年代の西成のまちの姿が生き生きとつづられている。3月2日まで。西成なるへそ新聞は、大阪市の支援を受けて、美術家の山田亘さん(50)と、西成区でアート事業に取り組む「ブレーカープロジェクト」が企画。高度成長期に発展した西成の姿などを書き留めようと、区内外の記者希望者を募り、60代の区民を中心に聞き取り作業を進め、新聞を製作した。タブロイド判2ページ。昨年3月から同12月まで13回にわたり発行した。1回あたり1500部。商店街や郵便局、区役所などに無料で配布され、すぐになくなるほどの人気だった。盛り込まれた人々の思い出はさまざま。大阪万博が開かれた昭和45年、行列ができた飲食店では、代金を受け取るのに一斗缶を用意し札束を入れ、店主が札を数えけんしょう炎になった▽小学校裏の墓地で夏に野球をしていたところ、暑さをしのぐために墓石を抱えて体を冷やした▽萩之茶屋の三角公園で行われた盆踊り大会で、輪が三重、四重になり、河内音頭の音頭取りで知られる鉄砲光三郎がしぶい歌声を披露、若い女性も訪れた-など、戦後や高度成長期のおもしろい思い出が記されている。人々のユニークなエピソードだけでなく、新聞の外観も、昭和を彷彿(ほうふつ)させる。さわると、ざらざらするわら半紙に、ガリ版に手書きで文字を重ねて印刷する昔懐かしい紙面にした。さらに山田さんのアイデアで、紙面を一つの「街」に見立てるという前衛的な手法で、記事は「家」や「区画」とし、毎回少しずつ記事を入れ替えていった。このほか、区内在住の100歳男性によるコラム、大衆演劇ファンによる連載記事、4コマ漫画なども盛り込んだ。展示会では、発行した13回分とともに未発行の12回分の新聞を並べるほか、編集作業の様子をスライドで紹介。また、西成区の銭湯を取材した記事を布に印刷した「手ぬぐい新聞」を販売している。山田さんは「個人の昔話というと、後ろ向きにとられるかもしれないが、新聞記事として掲載することで、それぞれの人生に価値があったんだということがわかったのではないか」と話した。午前11時~午後7時(最終日は午後5時まで、月曜休館)。入場料一般300円、65歳以上、高校生以下無料。問い合わせは、ブレーカープロジェクト実行委員会事務局((電)070・5046・8667)。

26日
大阪市西成区のあいりん地区で覚せい剤などを密売するグループから場所代を徴収していたとして、大阪府警西成署は26日までに、麻薬特例法違反(薬物犯罪収益の収受)容疑で、指定暴力団東組系組長の宮脇信行容疑者(45)=同区花園北=を逮捕、追送検した。調べに対し、容疑を認めているという。同署によると、宮脇容疑者は2012年9月〜13年5月、あいりん地区の三つの密売グループから、84日分の場所代として計約360万円を受け取った疑い。

27日
大阪市西成区のあいりん地域(釜ヶ崎)で、高齢単身の生活保護受給者に菜園作りや文化活動、ボランティアなどに参加してもらう「ひと花プロジェクト」が成果を上げている。時間をもてあまし、孤立しがちな保護受給者に「やること」を提供し、生活の張りと仲間ができるようにするのが目的だ。参加者から「日々の暮らしが大きく変わった」「酒やパチンコが減った」といった声が出ている。就労指導の対象にならない高齢の保護受給者を対象に、前向きの生活を支援する事業は全国初。地域再生を目指す市の「西成特区構想」の中で提案され、生活保護施策の一つである自立支援プログラム(厚生労働省が全額補助)として昨年7月に始まった。65歳以上が対象で、福祉事務所の打診に応じた100人余りが登録している。菜園は通称三角公園近くの空き地を借りて大根、ネギ、キャベツなどを育てており、週2回、農作業をして収穫を食事会に利用する。公園の草刈り、体操、映画観賞、折り紙といった多彩なプログラムも開催。本人の希望に応じて参加する。参加者の多田雄一さん(66)は保護を受けて3年になる。「以前は午前中から酒を飲んでいたが、生活スタイルが変わった。みんなの輪の中に入って少しでも社会貢献できたら、うれしい」と言う。亀谷長孝(かめやちょうこう)さん(69)は「保護を受けて4年間、社会に引け目を感じていたが、今は人間らしい暮らしになっている。いろんな催しを手伝うことで、張り合いができた」と笑顔を見せる。今年度の事業費は約2500万円。NPO釜ヶ崎支援機構など地元の5団体が共同で受託した。JR新今宮駅近くに拠点を置き、精神保健福祉士ら4人のスタッフが活動を支えている。区の担当課長は「公園や集会所の清掃など地域に役立つ活動もあり、受給者に対する市民の見方が変わるかもしれない」と話す。3月16日にはメンバーの活動発表を兼ねたシンポジウムが区内で開かれる。松崎喜良・神戸女子大教授(公的扶助論)の話「就労による経済的自立だけが自立ではない。生活保護から抜け出せなくても、人が社会とつながり、生き生きと暮らせるようにするのが福祉。全国のモデルになりうる取り組みだ」

3月

3日
日本屈指の歴史ある「遊郭」から世界王者を目指すボクサーがいる。12年12月、大阪市西成区の通称「飛田新地」のど真ん中に開かれた渥美ジム。同ジムのエースでIBFスーパーフェザー級8位の仲村正男だ。各部屋の入り口で、色とりどりの華やかな衣装に身を包み男性客を待つ美女たち。仲村は、その通りを客引きの女性らから応援されながら、ロードワークに出かける日々だ。「ポスターを貼ってくれたり、この地区全体で応援してくれる。この町から世界王者になる。ミスター西成になります」。王者挑戦なら試合会場で「飛田新地」の横断幕。王者ベルトを巻けば、飛田新地で“凱旋パレード”を行うプランを陣営は描く。夢の実現へ十分に、機は熟した。仲村はプロ18戦17勝1敗、17KO。勝利はすべてKOで飾ってきたハードパンチャーだ。10年12月にはOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座を獲得。だが11年5月に初防衛に失敗した。試合前にWBA同級王者・内山高志(ワタナベ)へ挑戦オファーを出していたが、このプロ唯一の黒星で白紙となった。常に「内山戦を前提」とし、仲村は敗戦からはい上がった。「どうやったら自分は進化できるのか。それだけを考えてやっている。限界まで自分を追い込んできた」。練習では胸に心拍計を付ける。マラソン選手並みの心拍数200を目指し、「世界を見据えて」スタミナを強化した。12年5月の再起戦から5戦5勝、5KO。8度防衛中の内山が、あとは挑戦を受けるかだ。元日本ジュニアミドル級王者・大東旭会長代行は「十分に世界の舞台に立てる力はある」と太鼓判を押す。次戦は今夏、東京で世界前哨戦を希望する。その場で実力を全国に証明し、内山陣営に対戦を訴えるつもりだ。昨年大みそかの内山の防衛戦はテレビで会長代行とともに繰り返し映像で見た。「この人のスキはどこなのか。自分ならこう攻める、守るとイメージした。自分と戦ったら判定はない」と、KOイメージを描いた。3日からは和歌山・白浜で5日間のキャンプを張る。ゴルフ場を朝、夕ともに20キロ走。会長代行が現役時代、日本王座を10度防衛した際に行った練習メニューで計200キロを走破し足腰を鍛える。興国高出身で仲村の1学年後輩には世界2階級王者・井岡一翔、元WBA世界ミニマム級王者・宮崎亮=ともに井岡=がいる。「うれしいけど、歯がゆい気持ちはある」と言うのが正直な気持ちだ。後輩ながら一翔には練習内容を聞き、参考にする。今でも会食しするなど、親交は深い。「早く王者になって下さい。一緒に世界チャンプになりましょう」と、エールを送られてきた。もう足踏みはできない。「世界で1番になりたいと思ってずーっとやってきた。それをかなえるのは今しかない。生活のすべてをボクシングに注ぎ込む」。男の欲望渦巻く地で、どこまでもストイックな26歳は言い切った。

  • 最終更新:2014-03-04 12:36:27

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード